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2019年5月8日

現在の畜産業の弊害とその理由

現在、畜産物は特定の市場でしか取引が行われておらず、農家が自由(直接)に販売することが極めて難しい構造になっています。例えば、乳の取引は乳業会社が一元的に集荷するため、どこの牧場でどのように育てられた生乳でも、乳業会社と取引すれば、指定工場でほかの牧場の生乳と混ぜられてしまいます。

また、業界団体による「乳脂肪分3.5基準」により、酪農形態は放牧から舎飼へと変わり、草食動物であるはずの牛が、濃厚飼料(穀物)で給餌されるという、歪んだ構造となっています。その結果、劣悪な環境の中で、不健康で病気持ちな牛ばかりが増えているのです。

牛肉でも同じです。食肉業界では、肉の品質をA-5を最高ランクとする、AからCまでの評価基準で取引価格が決まります(ちなみに中洞牧場の牛はC-1です)。その基準の根拠となるのは「脂肪の色」です。

牛は夏には放牧地で青草を食べるのが本来の姿ですが、そうすると青草が含むカロチンの色が脂肪にのり、黄色味を帯びてしまうために、評価が下がってしまいます。そこで最高ランクのA-5の肉質を得ようとする農家は、あえて栄養価の低い稲わらを給餌します。カロチン不足の牛はビタミンA欠乏症となり、夜盲症、筋肉水腫、起立不能を引き起こしてしまいます。「サシ」と呼ばれる高級食材の牛肉は、皆重度の病気を持った可哀想な牛たちの肉なのです。フォアグラやヴィールも同様です。屠畜場に出荷される牛の8割の内蔵は全量廃棄です。なぜならば、病気の内蔵は食べることができないからです。つまり出荷される8割の牛は、病気なのです。

いくら価値が高く、高値で取引ができるといっても、そのプロセスで倫理を欠いてはならないでしょう。そのプロセスは残酷かつ無慈悲であり、犯罪的であると言っても過言ではありません。犯罪的飼養方法は、決して豊かな食文化とは言えないのではないでしょうか?