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2019年5月16日

アニマル・ウェルフェアAWの輪を広げたい!

幼い頃から動物が大好きだったのですが、動物園はあまり好きではありませんでした。檻の中で飼われている動物たちが、餌をもらっているとはいえ、かわいそうに見えたからです。その時にいだいた感覚は、今ぼくが「アニマルウェルフェア Animal Welfare」(略称AW)に取り組みたいと思っている気持ちにつながっているかもしれません。

アニマルウェルフェアとは、一般的に人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなどの活動により動物の心理学的幸福を実現する考えのことをいいいます。

イギリスでは、早くも1922年に畜産動物ウェルフェア専門委員会が次の「5つの自由」を提唱しています。

・飢えおよび渇きからの自由(給餌・給水の確保)
・不快からの自由(適切な飼育環境の供給)
・苦痛、損傷、疾病からの自由(予防・診断・治療の適用)
・正常な行動発現の自由(適切な空間、刺激、仲間の存在)
・恐怖および苦悩からの自由(適切な取扱い)

EUでは、アニマルウェルフェアに準じた飼養方法により、乳・肉製品が一般的なスーパーに並んでいます。ケージ飼いで飼育した鶏卵は流通は禁止されていて、放し飼いがあたりまえになっています。豚肉についても、以前は経済性を優先して妊娠豚を拘束して飼育していましたが、これもいまや禁止されています。

https://ec.europa.eu/food/animals/welfare_en

ところが、日本では、生産者はもとより消費者の間でもこの「アニマルウェルフェア」はほとんど認知されていません。生産量(利益)を基準に飼養方法を決定する傾向にある大多数の乳業・飼料会社、生産者はアニマル・ウェルフェアという考えをほとんど持てないでいるのです。規模拡大路線に走った経営体ほど、家畜の飼養が劣悪となり、人(経営者も労働者も)も牛もマシーンのような無機的で非倫理的な様相を呈しています。こうした状況に対して、経済最優先路線を農業政策の柱に置いてい日本政府(農林水産省)は見て見ぬ振りです。

2020年に開催されるオリンピックに向けて、2018年8月、世界の9人のメダリストたちが、小池百合子都知事に対してアニマルウェルフェアや有機栽培に則った食材の提供を要望する文書を送りました。

https://legacyforanimals.com/letter-jp/

国会でも、2019年3月12日、参議院農林水産委員会で小川勝也議員(北海道)が東京オリンピック・パラリンピックの食材調達におけるアニマルウェルフェア、および有機畜産について質問を行いましたが、アニマルウェルフェアの概念を理解していない官僚は「それは可能だ」と答弁していましたが、その実現のためには、現在は経済を最優先している畜産/食肉、酪農/乳業界には抜本的な改革が求められることとなるでしょう。

民間では、帯広畜産大学の瀬尾哲也先生が2016年に日本ではじめてのアニマル・ウェルフェアを認証する「一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会」をつくられました。私も今取り組んでいる根羽村での山地酪農でこのアニマル・ウェルフェアを実践し、日本の現状に一石を投じたいと考えています。

http://animalwelfare.jp/